複葉機は、航空史の黎明期を象徴する存在であり、現在も多くの航空博物館でその姿を見ることができます。歴史的価値の高い複葉機は、航空ファンにとって貴重な遺産であり、そのデザインや構造を直接目にすることで、当時の航空技術の進化を体感できます。今回は、世界中で複葉機が展示されている主要な航空博物館をご紹介します。各地で展示されている複葉機の背景や特徴にも触れながら、博物館の見どころをお伝えします。
1. スミソニアン航空宇宙博物館(アメリカ)
ワシントンD.C.にあるスミソニアン航空宇宙博物館は、世界でも最大規模の航空・宇宙博物館の一つです。ここには、ライト兄弟の「フライヤー」をはじめとする数々の歴史的な航空機が展示されています。ライト兄弟の初飛行は1903年に行われ、彼らの「フライヤー」は世界初の動力付き飛行機として有名です。この博物館では、当時の航空技術を忠実に再現した展示があり、複葉機の進化を学ぶことができます。
見どころ
- ライト兄弟の「フライヤー」の実機展示
- 第一次世界大戦で使用された複葉機、ソッピース・キャメルやフォッカーDr.I
- 19世紀末から20世紀初頭の航空技術の進化を示す展示
2. ロイヤル・エアフォース博物館(イギリス)
イギリスのロイヤル・エアフォース博物館は、航空史におけるイギリスの貢献を強調した展示が特徴です。この博物館では、第一次世界大戦で使用されたイギリスの複葉機が多く展示されています。中でも、ソッピース・キャメルやハンドレーページ・O/400など、戦時中に活躍した複葉機の実物を見学できます。
見どころ
- 第一次世界大戦で使用されたイギリス軍の複葉機コレクション
- イギリス空軍の誕生から現代までの航空技術の進化
- 屋外エリアには実際に飛行するヴィンテージ機体も展示されることがあり、現代のパイロットによるデモンストレーションも行われます。
3. ミュゼ・ドゥ・ロジアヴィション(フランス)
パリ郊外に位置するミュゼ・ドゥ・ロジアヴィション(航空宇宙博物館)は、フランスの航空技術の発展をテーマにした博物館です。ここでは、フランス製の複葉機や第一次世界大戦で使用されたドイツ軍の複葉機も展示されています。特に、モラーヌ・ソルニエ機やブレリオXIのレプリカが有名です。
見どころ
- 1910年代から20世紀中盤にかけてのフランスの航空機コレクション
- ブレリオXIやフォッカーDr.Iなど、初期の航空機の実物展示
- 博物館の一部は、空港の滑走路に面しており、時折ヴィンテージ航空機の飛行を見ることができる。
4. ドイツ航空博物館(ドイツ)
ドイツ航空博物館は、ドイツ航空産業の発展とその技術革新を展示する博物館です。ドイツは第一次世界大戦中に複葉機の開発で多くの成果を挙げた国であり、その中でもフォッカーDr.IやフォッカーD.VIIなど、戦闘機として使われた複葉機が多数展示されています。特に、レッドバロンとして知られるマンフレート・フォン・リヒトホーフェンが操縦した機体のレプリカは必見です。
見どころ
5. シャトルワース・コレクション(イギリス)
イギリスのシャトルワース・コレクションは、世界でも数少ない実際に飛行可能なヴィンテージ航空機のコレクションを誇る博物館です。特に、ここではヴィンテージ複葉機が多く展示されており、時折航空ショーや飛行デモンストレーションが行われています。実際に飛行する複葉機を目にすることができるのは、航空ファンにとって貴重な体験となります。
見どころ
6. ポール・アレン飛行遺産博物館(アメリカ)
シアトル近郊にあるポール・アレン飛行遺産博物館は、実業家であるポール・アレンの個人的なコレクションを元にした博物館です。この博物館では、世界でも珍しいヴィンテージ複葉機の数々が展示されており、多くの機体が実際に飛行可能です。第一次世界大戦で使用された複葉機を中心に展示されており、航空史を詳しく学ぶことができます。
見どころ
7. オークランド航空博物館(ニュージーランド)
ニュージーランドにあるオークランド航空博物館も、ヴィンテージ航空機の展示で知られています。特に、ニュージーランドやオーストラリアで活躍した複葉機の展示が豊富で、第一次世界大戦中に連合軍として参戦した際に使用された機体を中心に見学できます。
見どころ
結論
世界中の航空博物館では、複葉機が歴史的な遺産として展示され、その技術や背景について詳しく学ぶことができます。各博物館の展示物や航空ショー、デモンストレーション飛行を通じて、複葉機の魅力を再発見することができるでしょう。複葉機の設計や技術は、現在の航空技術の基礎を築いたものであり、その歴史を知ることは航空史を深く理解する上で重要です。